強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている
このお巡りさんはいつも私を追いかけましてくる。冷徹な目つきで強面の顔をしている。年は二十代半ばだろうか。声も低く、いつも表情を変えず淡々と話してくる。
(どんな体力してんだよ……化け物なの?)
「悪いけど、アタシ達世代は鬼ごっこじゃなくて、ドロケイっていうんだけどぉー。お・じ・さん♪」
ジェネレーションギャップ感じすぎぃ! と嘲笑っているとアスファルトの窪みに踵をぶつけた。
「きゃっ」
その衝撃で疲れた膝の力が抜け、背中から倒れそうになるとお巡りさんがすかさず手を差し伸べてきた。腰に回された手からシャツ越しに人の熱を感じた。
「大丈夫か?」
強面の顔がドアップになり、何故かわからないが顔が熱くなった。よくよく見ると醤油八割ソース二割のイケメンの分類に入る顔かもしれない。
「だ、大丈夫だし! ってか離せよ! ってか顔怖いよッ!」
胸を強く押し返し離れると、お巡りさんは落ちた帽子を拾い上げ土埃を払うと深く被り直した。
「ドロケイって鬼ごっこの役名を泥棒と警察に変えただけだろ。そもそも俺は警察官だ。間違っていない」
「誰が泥棒だ! うっさい! 揚げ足とんな!」
「それよりちゃんと家に帰って飯は食べてるのか。軽かったぞ。親御さんが心配するぞ」
「は、はあ? マジでうざっ。ダイエット中なの!」
ちょっと触れただけで体重のこと言ってくるなんてなんてデリカシーの無い人だ。それに私を心配するような親なんていない。
間合いを取るとお巡りさんはいつも通りメモ帳とペンを取り出した。