強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている
しばらく走ると、小洒落た低層マンションに連れて来られた。
明るいエントランスを抜け、一階の角部屋でお巡りさんはポケットから鍵を取り出した。どうやらここはお巡りさんの家のようだ。
扉の横の表札を見ると”小鳥遊”と書かれていた。
「ことり、あそぶ……?」
「”たかなし”だ」
そう言うと小鳥遊さんは小さく笑って部屋の中へと入って行ってしまった。
「なんだ笑えるんじゃん……」
にべもない人だと思っていたが、そうではないようだ。私は続いてそっと扉を開けた。
「お邪魔しま~す……」
玄関に入ると、小鳥遊さんはタオルを持って立っていた。
「使え」
「……ありがと」
タオルを受け取り、トレンチコートを返す。結構な大雨と風のせいで頭からコートを被っていたが髪も制服もびしょ濡れだ。
玄関に置かれた姿見に映し出された己の顔に度肝を抜かれた。
目の周りのアイラインはドロドロに溶けて落ち、つけまは取れて下瞼に引っ付いていた。金髪に混ぜていたピンクエクステはバサバサに絡まりまさに妖怪だ。
そんなひどい顔の私を見て小鳥遊さんが小さく言った。
「風呂……入ってくか?」
できればこの顔で居たくはない。私はタオルで顔を隠しながら小さく頷いた。
「……そうする」