強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている
「当たり前でしょ! 向こうの家は代々警察官なんだよ! 息子の嫁が昔ガングロギャルで補導常習犯だったなんて過去が知れたら大事件だよ!!」
「えーそうかな? 今まで私に警察から電話なかったし、補導の履歴残ってないんじゃない? 電話あったのは学校くらいだったよ」
「まぁ、それは私が頑なに答えなかったからであって、修一郎さんはあの時のギャルが私だと知ったら幻滅するでしょッ!」
「そうかなぁ〜? じゃぁさ、もし修一郎君があんたの過去を知ってて結婚してたらあんたはどうすんの?」
「そんな”もし”絶対ないもん! 私聞いたんだから、”ギャルは嫌いだ”って」
姉からビールを奪い取り、一気に飲み干しテーブルに空き缶を叩きつけた。こんなんもう飲まなきゃやってられない。
「ああー、そんなに飲んで……。よっぽど好きだったんだね」
「……好き、今も大好きなのにぃ~~」
わーっと泣き、机に伏した。
大好きだったから、ギャルを辞めて彼の好みになった。あの時、私の心の隙間を埋めてくれた彼が居たからこうして今、社会に出て仕事ができている。もし彼に”側に居てやる”と言ってもらえていなかったら私は惰性的な人生を送っていたと思う。彼が光へ連れ出してくれたから、彼のために生きていこうって決めたのに。こんなに早くも終わりが来るなんて。
懊悩としていると姉は「よっこらせ」と立ち上がり、冷蔵庫から一升瓶の日本酒とお猪口を二つ持って来た。
「とりあえず、今は修一郎君のことは忘れてとことん飲もうよ。久しぶりに姉妹でさ」
「……どの口が言ってんのよ」
トクトクと姉はお猪口になみなみと酒を注いだ。私は罪悪感と絶望感を押し流すように胃袋へと酒を流し込んだ。