強面お巡りさんはギャルを愛しすぎている

 翌朝起きると、味噌汁の良い香りがして目が覚めた。

「あれ、リビングで寝ちゃってたのか……うっ、頭痛い」

 テーブルに手を突いたまま、寝ぼけていると姉にお椀を手渡された。

「しじみの味噌汁。二日酔いに効くよ」
「ありがとう」
「まぁ、インスタントだけどね」

 だと思った。姉が料理をするわけがない。安定の味を啜り一息ついた。昨日さんざん飲んで叫んで泣いたおかげで心のモヤモヤは少し納まっていた。だからと言って姉のおかげではない。

「私あと一時間くらいで仕事行くけど、あんたは?」
「私も行くよ。明日イベントがあるから、最終調整と準備があるし」
「イベント?」
「うん、今担当してるイベントが渋谷であるの。ここからの方が渋谷近いし、今日も泊まるから」
「えー! 泊まるなら宿泊代としてご飯作ってよね」
「元凶が自分であること忘れて堂々と人をこき使うな」

 今、修一郎さんの元に帰る勇気はない。頭の中には”離婚”の二文字が離れず、余計に頭が痛んだ。
 バッテリー切れになっていたスマホを充電すると、修一郎さんからの着信が大量に入っていた。メッセージも何件も入っていたが到底読む気にはなれなかった。今このメンタルで文書での別れ話を読んでしまったらその画面が脳裏から一生離れなくなり、今後スマホの画面を見るたびにフラッシュバックして生きていけない。

 未読のまま、仕事に行く準備を始めた。

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