戀を手向ける


そう言って長く伸ばした髪の先を持ち上げる。確かに染めたみたいに茶色い。でも、傷みはない綺麗なそれ。


「あっそ」

「あのね、校則って縛り付けられるみたいで嫌かもしれないけど、守っていれば学校生活が豊かになるからさだめられているんだよ。わたしはね、そう思ってるの」


なんか語り出した。

めんどくせえな、と思ったけど、説教にしてはあまりにも楽しげに話すから何も言えなくなる。


「派手な格好をしていれば悪いことをしているひとに見られちゃう。そう疑われれば反抗したくなるし、どうでもいいやって気持ちになる。そんな気持ちになったらできることが狭くなっちゃう。狭くなっちゃったら自分のこと、何も持ってないって思っちゃわない?わたしはね、そういうの、もったいないことだなあって思ってて……だから風紀委員になったの」


聞いてない身の上話。

あっそって突っぱねてやりたいくらい、型にはまった考えかた。


おまえみたいなやつがいるから、派手な格好をしているだけで悪いと思われる。何もしていないのに疑われる。疑われることに腹が立って何もかもどうでもよくなって、何かをあきらめて、何も持っていない自分になっていく。…あれ、こいつの言う通りかよ。



「でもね、本当は、髪が白みたいな金色だって、揺れるピアスをつけていたって、爪が真っ赤だって、つけまつげをつけていたって、かろうじて制服のズボンを履いてるだけだって、逆に真面目にしっかり校則を守っていたって、部活や勉強をがんばっているひととけんかをがんばっているひと、どっちだって、悪いことじゃなくてそのひとだってみんなが「べつに誰がどんなでもどうでもいいや」ってなれる、みんなが学校に来て楽しいって思えるような学校にしたいんだよね」


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