ずっと好きだった。
「――その間に私が逃げ出したらどうするんですか?」
「そうしたら追いかけるよ。言っただろ? 終わらせないって」
「……本当ですね」
「うん?」
「安心できます」
課長の言葉には安心できる。信じられる。
だから、きちんとしないといけない。
「私、やっぱり帰ります」
「あいつのところに戻るのか?」
「いいえ。――いえ、彼が家で待っているのは確かですけど、だからこそ帰って話をしてきます。課長とこんなことになって何を言っているんだって思われるかもしれませんが……彼ときちんと別れないと、前には進めませんから」
「そうか……。じゃあ、俺とのことはそれから?」
「すみません……」
「謝る必要はないよ。つけ込んだのは俺なんだから。ただ前進してくれるだけで俺は嬉しい。しかもそこに俺はいるかもしれないんだろ?」
「――はい」
一日中抱き合っておきながら、課長のことが好きかどうかまだわからないなんて、自分でも呆れる。
ただ雰囲気に流されているんじゃないかって、課長のことは信じられても、自分のことはまだ信用できない。
課長とは真剣に向き合いたいから。