私は醜い裏切り者


「杏里ちゃーん!!どこ行ってたの!!心配したよ!!」




私はしばらく、裏庭で休んで顔を洗った。




そして、帰ろうとしていた時梓くんと出くわしたのだ。





どうやら話を聞いていると、放課後帰る約束をしてたみたい。




「急に居なくなるから、ビックリしたよ。おっちょこちょいだな杏里ちゃんは。俺たち付き合ってるんだから、忘れないでよ?」




いつも通りの笑顔で、私を迎え入れる梓くん。



ーーでも、その裏の顔は悪魔みたいな残忍な人格。





私はこの人といると人としての何かをきっと捨てなければいけなくなるんだろう。




やめなきゃーーこの関係を。でも、どうやって?





相手は残忍な上に、結構馬鹿じゃない。





しかも、友達は聞いたところ多そうだし……。





ーー結局お前は何もできない。黙って、梓くんの言われるままに行動するしかないじゃないか。




そんな言葉に押し潰されそうになった。




渋々、梓くんと帰り道歩いていると……。





「ねぇ、俺の家寄ってかない?」





突然の言葉に、ビックリして「え!?」と声が出た。





「なぁーに。別に変な事しないって。あ、俺の友達も呼ぶからさ。パーティー気分で遊ばない?」





そんな事を言われ、私は少し考える。





ーーここで、みんなにキッパリ、「お付き合いはやめよう」って言えたら……。





私は覚悟して、望んだ。





しばらく梓くんと歩いて、梓くんの家に着いた。





家はシンプルで、白い外壁の塗装が家全体に施されており、住みやすそうな家だった。




「こっち。こっち!!」



私の手を掴んで引く梓くん。玄関を抜け、リビングに着くと梓くんは「お茶入れるね」といってキッチンへ向かう。





ーーこんな普通の所に住んでいるのに、なんであんな性格になっちゃったんだろう。





親の躾が悪かったのか、それとも何か凄いトラウマがあって、あんな事を言った?




それとも、真斗くんが何かしたのか?それぞれの疑惑が流れては消え、それは脳内の中に過ぎ去った。







「今、こんな物しか無いけど……後から仲間来るから、ゆっくりして」





リビングに早速戻ってきた梓くん。両手には私のお茶と、ポテチの袋があった。






私達は向かい合って座る事に。当然この時、梓くんの顔を拝見することになる。





相変わらず、とても鼻筋が通っており、目は流れるような切れ目、髪からは、爽やかな石鹸の匂いがする。





不覚にも、私はドキリと胸が高鳴った。




ーー本当に、性格が良ければ、忘れられるんだけどなー。梓くんと一緒にいると。





甘い妄想を考えていたら、外でインターホンが鳴った。





「はーい」




梓くんが、机から立ち私を後にする。私は目の前にあったポテチを開けて少し食べた。うん、美味しい。






「杏里ちゃーん。梓と一緒?ラブラブだねぇ」



声がして、そっちの方を見ると、信くんがいて、その隣には旬くんがいた。





旬くんは相変わらず物動じず、「おす」というだけだった。





「俺達、色々買ってきたから好きなもん食べよう? 楽しいぜ」




信くんが、カバンから色々なお菓子を持ってきていた。うまい棒、きなこ棒、さくらんぼ飴、ヨーグルト、バニラアイス、ソーダ……。





「お、美味しそうですね」





本格的にパーティーをやるつもりだとは思わなかったため、余計にあの事が言えなくなる……。





ーーいつ、「お付き合いを、友達付き合いをやめましょう」って言えばいいの……これじゃ言いにくい。





そんな私をよそに、どんどんパーティーは進む。





「はやく、乾杯しようぜ」




信がそう言うと皆が、注いだお茶ジュースを持って乾杯をしようとする。





私は、今だと思った。





「あ、あの……!!」





その時だった。急にまたインターホンが鳴ったのだ。




信くんが、舌打ちをついた。





「誰だよ、こんな時に……俺のどカラカラなんだけど……おい、俺達だけじゃなかったのかよ」





チラリと、信くんは旬くんを見た。





「俺も、このメンバーだって聞いた。梓お前誰か呼んだの?」





旬くんに続いて、梓くんが問われた。





「え? 俺達だけだって思ってた……来客じゃね?」




梓くんは渋々席を立ち、リビングを出て行く。




私も気になって、「わ、私も行く……」と言って梓くんについて行った。





だけど、私は予想外の人物に会ってしまい、声が出てしまった。






「ま、真斗くん!?」




息を切らして、走ってきたのであろう。汗だらけの真斗くんがそこに立っていたのだ。




「ちょっと……!!」




真斗くんは私の手を掴み、何処かへ連れ去った。





来たのは、私達が連絡先を消した公園だった。




「もうやめてよ!! 真斗くん!! これじゃまるで……ストーカーじゃない!!」



声を荒げたが、ただただ、私を平然と眺める真斗くん。




「なんとか言ってよ!!」




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