私は醜い裏切り者
真斗くんは何も言わずに、ベンチに腰を下ろした。そして、何かを考えるみたいに、深刻な顔つきになった。
そんな顔を私に見せないでよ。期待してしまう。「付き合おう」って言ってくれる事に……。
だけど、彼の口から出てくる言葉は予想を遥かに超える言葉だった。
「やっぱ……振り向いてくれないか……梓くんは……」
彼が口から出てきた言葉にピタッと固まった。
ーー振り向いてくれない?
その一言の言葉で、私の脳内が嫌な方向へと加速してゆく。
それってーーまさか。
「僕ね、ずっと君じゃなくて、梓くんの事が好きだったんだ。梓くん、君の事が見かけた時から、君の事が好きだったみたいだから、奪おうと思ってたのに……無理みたいだね。君をまず僕の方に向けて、彼の隙ができた時に彼を奪おうと思ってたのに」
ぬるかった風が、一気に涼んで私の体温を奪ってゆく。頭、胴体、足……全てが力なく沈んでいくようなそんな倦怠感を感じた。
これは……これは……悪夢なの?
じゃあ、私と付き合った時間は嘘の時間だって言うの?
彼は、私の事を好きじゃなかったの?
「う……そ…」
私は言葉を飲み込んだ。
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