私は醜い裏切り者
「ずっと、アイツ、キモくてウザかったんだよ」
私はあの後、無言で真斗くんと別れ、梓くんの家へ戻ってきた。
梓くんは不機嫌そうにそう言った。
「……一体何があったの?」
それを語るかのように信くんが言った。
「アイツ、梓と一緒の中学校で、三年間ずっと追いかけ回してたらしい。三年の最後らへんでついに梓がキレて、怒ったら、先生に「いじめられた」ってチクりやがった野郎なんだ。そして、今も梓と同じ高校に入ってきてさ、一体何がしてぇーんだ。キモ」
ボリボリと、不機嫌そうにポテチを食べる信くん。
そんな事があったなんて……。
「私さっき、この高校に入って来た時、梓くんが私の事好きだったとか
真斗くんが言ってて……」
「よく知ってるねー。梓、杏里ちゃんは知らないだろうけど、初めて見た時、好きだって、うるさくて、うるさくてーー」
「おい!!コラ、言うなよ」
梓くんと信くんがじゃれ合う。以外に……この人達悪い人じゃない?
むしろ、悪いのは真斗くん?
「ってな訳で、アイツ杏里ちゃんに気を引かせて、梓が落ち込んだところを告白しようなんて考えてるのが見え見えって訳」
信くんが落ち着いた口調で、そう私に話した。
「でも、なんであんな事になっちまったんだ? 梓お前なんか彼に接触したの?」
旬くんが、ソーダーを呑気に飲みながら話した。
「いや……別に。特に何も。前々からアイツイケメン好きって話し聞いてたから、むしろ離れてたんだけど……」
これだと言わんばかりに肩をすくめる梓くん。
「まぁ、色々と大変な事になってきたなー。まぁいいや。今日はこんな気分でパーティーなんてできる訳ないよな。今日は解散するか」
信くんがそう言った後「「賛成」」と二人つられていったのだ。
「俺は、杏里ちゃんが危ない状況にいるから、一緒に帰るよ。杏里ちゃん家近い?」
私は、「うん」といってリビングを出て梓くんの家を出た。
旬くん、信くんを見送って、別れた後、梓くんと二人になった。
「ねぇ」
二人を包んでいた、空気を梓くんが破った。
「なに? 梓くん?」
「杏里ちゃんは、はじめ俺の事どう思った?」
ーーどう思った。そう言われると照れるが、カッコいい人だなって思った。
「そ、そうだな……秘密」
「秘密……ねぇ。俺さ杏里ちゃんと初めて仲間と一緒にご飯食べた後、あんな過激な事言ったから嫌われたと思ったんだ」
私は、「え?」と言った。
「俺……正直試したんだ。俺の事……こうゆうのもあれなんだけど、顔で見てくる奴ばかりだったからさ、この子本当に信用していいのかなって」
私は黙った。
「だけどね、酷いこと言った後、杏里ちゃんの顔ちょっと嫌な顔してたから、「あぁ、この子はやっぱりいい子なんだな」って思ったんだ」
「……私を試してたの?」
「うん。俺、ちょっと女子にトラウマがあって人間不信って言えばいいかな?でも、あの真斗程ではないけど」
「そっか」
梓くんは、別に悪い人じゃない。私を試していた。少しホッと心が落ち着く。
でも、同時にズキリと胸をつく痛みが走った。
ーー僕は、君を梓くんから遠ざける為に、付き合ったんだけどね。
その言葉が心に刺さった。
私の事……好きじゃなかったんだ。
「あのさ……杏里ちゃん」
私は、梓くんの方を向く。
「俺がアイツのこと忘れさせてあげるから、甘えてもいいから」
その言葉……信じていい?梓くん。
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