オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
「今から不安なんですけど…社長秘書なんて務めるかどうか…」

「不安か…俺も自分に社長が務まるかどうか不安だよ…お互い様だ。まぁ、有能な秘書の栗原が居るから…何とかなるさ…」

「…何とかなると言っても…」
何とかなると言われても、社長秘書は大変な仕事。

「…それよりも今夜、ヒマか?」

「いえ、予定があります」
今夜は歓送迎会。


「予定?そうか…残念だな…栗原と二人でお前の歓迎会してやろうと思ったのに…」

「歓迎会って…私は別に…」

「拒否権ないぞ…お前の歓迎会は決定事項だ」

「あ…」

全面硝子の向こうに広がる夕映えを見て、ハッとする。

「どうした?」

「今何時ですか?」

「今は五時半だぞ…後、十五分で定時だな…」

私はそそくさにコーヒーを飲み干した。

「おいおい、もう少し味わって飲めよ。美苑」

「明日からよろしくお願いします…社長、お先に失礼します…」

「美、美苑!!?」

私は慌てて社長室を出て行く。

「もういいんですか?」

デスクの椅子に座り仕事をする栗原さんがひと声かけて来た。

「経理課の歓送迎会があるので…帰ります。失礼します…」

「あ、お疲れ様…」

栗原さんはそう言って、私を笑顔で見送ってくれた。


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