オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
「一言言っていいか?」

「何ですか?」

「それ俺の飲んでるコーヒーじゃないぞ」

「えっ?」

「それは親父が飲むブルーマウンテンだ、俺の飲むコーヒーはマンデリンだ」

「申し訳ありません」

私は棚にあった開封済みのコーヒーを淹れてしまった。祐早斗さんが棚の扉を開いて、未開封の自分のコーヒーを手にした。

「俺のはこれだ…ずっと此処は親父の部屋だったから…仕方がない…今日はそのまま親父のコーヒーを飲むよ」

「すいません」

私は早速ミスしてしまった。

「じゃペナルティとして…キス一つさせてもらうかな?」

「で、でも‥栗原さんが…」

「栗原は秘書室だ…此処には俺と美苑しか居ないぞ」


私の顔はキス一つで茹でたタコのように真っ赤になる。
そんな私の顔を意地悪く見つめて、顔を近づけて来た。

私も彼のキスに応じるように瞳を閉じる。

すると、私達の背後から咳払いが聞こえた。

「チッ…美苑がぐずぐずしてるから…邪魔者が来たぞ…」

祐早斗さんは舌打ちして、様子を見に来た栗原さんを邪険に扱う。

「就業時間だと言うのに…お二人は何をしているんですか?」

「栗原…美苑のヤツ…間違えて、親父のコーヒーを淹れたぞ…お前の指導はどうなってんだ?」

「それはすいませんでした…社長。俺の伝達ミスです」

「俺は先に行くから…」

祐早斗さんは私達を置いて、デスクに行ってしまった。

「すいません…栗原さん」


「コーヒー位のミスなら、問題ないですよ」

私の秘書として仕事の幕が上がった。






< 142 / 245 >

この作品をシェア

pagetop