オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
「相馬っ!!」

「桐生…」

「桐生?」

「大手ゼネコン『桐生建設』の桐生捺(キリュウナツ)社長です」

受付に居たはずの栗原さんが私達の元へと歩み寄って来た。

『桐生建設』の桐生捺社長。

祐早斗さんよりも三歳下。
私とは学年的には一つ下。
トーマさんと同じような中性的な顔立ち、でも、目に宿る光は誰よりも強い。野心的な雰囲気が漂う。

「マロン…眼鏡はどうしたの?」

桐生社長の隣に居た女性が栗原さんに話し掛けて来る。
この野太い声が気になる。それにドレスを着てるけど、胸がない。

「コンタクトだ…」

「珍しいわね…良ーく見れば…マロンもイケメンね…」

「哲子さんも相変わらずお綺麗で…」

栗原さんは近づいて来る哲子さんに後ずさって、距離を置く。


「貴方が華ちゃん?まぁ、確かにキレイね…」

「栗原さん、この方は…誰ですか?」

「桐生社長の秘書だよ…ちなみに性別は男だ」

「えっ?その女装は桐生社長の命令ですか?」

「俺は何も言ってないぞ…哲が勝手に女装しているだけだ…そうだろ?哲」

祐早斗さんと話をしていた桐生社長が誤解を解きにやって来た。

「まぁ―そうだけど…」

「…いい迷惑だ…」

「でも、あたし…ちゃんと秘書の仕事はしてるわ…」


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