オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
顔は真っ赤。心臓は早鐘を打っていた。

「嫌か?」

「え、あ…いえ」

隣の栗原さんの動向も気になるし、軽いパニックを起こして、言葉が出なかった。

「華って…分かりやすい女性だな。キモチが顔に出てるぞ」

祐早斗様が私の顔を見て、口許に笑みを浮かべた。
この店に入って初めて彼が笑った。

「・・・店を出るんなら、車でお送りしますよ。祐早斗様」

栗原さんがソファから腰を上げた。

「気が利くな。栗原。さすがは親父の雇った専属秘書だ」

「…俺は大事な客だ。お前に拒否権がないぞ。行こう、華」

祐早斗様は強い光を瞳に宿し、私の手を握った。

あの時の優しい彼とは違い、強引だった。

―――失恋の傷は恋で癒すモノだと母は言った。

いつまでも、逃げていては何も始まらない。



私も握られた手に力を込める。

「華?」

彼は握り返した私に驚きの表情を見せる。

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