オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
「彼は伊藤平介(イトウヘイスケ)大学時代の同級生だ」

「へぇー…華です。よろしくお願いします」

「キレイな子だな。祐早」

「だろ?俺のひと目惚れなんだ…」

祐早斗様は素面なのに、テレるような言葉を連発する。

「俺はいつもヤツで…華は何飲む?」

私はアラカルトを見て、モスコミュールをオーダーした。

「華は幾つ?」

「あ…二十三歳になります」

「昼間は何してるの?」

「え、あ」

『ソーマ』本社の経理課で働き、貴方の社長就任を機に秘書になるとは言えなかった。

「あ…一応、会社員してます」

「業種は?」
そこまで突っ込むか…

「え、あ…化粧品会社です…」

私は適当に返した。

「ふうん」
彼はそれ以上何も訊かなかった。社名まで訊かれたら、どうしようかと焦ったけど。

私達は会話している間にカクテルが完成していた。
私と祐早斗様の前にオーダーしたカクテルが置かれた。

私はモスコミュール。
祐早斗様のカクテルが気になった。

「これは?」

「ゴットファーザ―だ。匂い嗅いでみなよ…アーモンドの香りがするから…」

私は彼に言われるまま、鼻を近づけた。
ウィスキーの香りとは別に僅かだけど、アーモンドの香りがした。
「本当だ…アーモンドの香りがします。こんなカクテルがあるんですね。初めて知りました…」

「俺はこの店では必ずこのカクテルを飲む」

私達は打ち解けていた。
あの時とは全く違う印象だけど、嫌悪感はなかった。
逆に彼に凄く惹かれていた。






< 30 / 245 >

この作品をシェア

pagetop