オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
「えっ!?華お前…隣に住んでるのか??」
何てラッキーな…そっか…これも運命だな…
でも、栗原の説明によると隣人は社長だと言っていたが。
「いえ、私は…」
華は慌てて言葉を紡ごうとすると甘めのテノールボイスが耳に入る。
「男?」
「華さん、誰と話をしてるの?」
「えっ!!?」
俺は絶句した。
「濱部社長ですね…」
「お前は栗原!!?」
静かな空間に響き渡る濱部社長の大声。
「何で、濱部社長と一緒に居るんだ!!?華」
「・・・君が今度『ソーマ』の社長に就く相馬祐早斗か…」
「濱部社長には訊いてない…俺は華に訊いてんだ!!黙っててくれ!!!」
「華さんが困ってるだろ?相馬社長」
濱部社長が華の前に立ち塞がった。
――――何だか俺の方が悪者になっている。
「まぁまぁ、二人とも抑えて…」
一人だけ冷静な栗原。
彼が俺と濱部社長の間に入った。
「相馬社長…華には手を出すなっ」
「栗原お前…二人の仲を知っていたのか?」
「まぁ―・・・」
「華は俺の大切な人だ。お前のようないきなり怒鳴り散らす男には華を渡さない!!」
「・・・今日の所は引いた方がいいですよ…社長」
俺は唇を噛み締めて黙り込む。
去年の売上高四千憶円『星凛堂』・・・
学歴も日本最高学府だし、俺よりも頭がいい・・・
社長に就いたばかりの俺では太刀打ちできない。
俺は濱部社長にノックアウトされてしまった。
二人はスタスタとエレベーターホールに向かう。遠ざかる二人の背中。
俺は切なげに見送った。