元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「……これがしたかった、のよね?」

「いかにも」

「なにか意味のある行為なの?」

「恐らく」

 人間のティアリーゼにはいまいち理解できない行為を終え、そっと離れる。

 いつにも増してしゅうしゅうという鳴き声がよく響いた。

 喜んでいる――。

 そう感じた瞬間、ティアリーゼの胸がほわっと温かくなる。

(たぶん好意を示す行いなんだと思う。……でも、ここまで喜ばれると思わなかったわ)

 またシュクルはティアリーゼの肩に顔を埋めていた。

 やはり魔王というよりは愛玩動物が甘えているようにしか見えない。

 だからか、ティアリーゼの胸がきゅっと疼く。

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