元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
(なんだかよくわからないけれど……この人、すごくかわいい)

 かつては殺そうとしていた。

 それも忘れて、シュクルのしたいようにさせる。

 ついでになめらかな肌もさらさらの髪も、角も尾も触れさせてもらった。

(これが魔王だなんて)

 ぺち、とシュクルの尻尾が噴水の縁を叩く。

 白銀の尾は、ティアリーゼが触れている間、何度も何度もご機嫌に跳ねていた。



***



 ティアリーゼの役目が勇者からシュクルの遊び相手となって、それなりの月日が経った。

 タルツへ戻っていいのか判断できないまま過ごすうち、気が付けばメルチゥを始めとした城の使用人たちと仲良くなっている自分がいる。

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