元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 胸の奥がちりちり痛むのは、自身の秘密をまだティアリーゼに伝えられないせい。

 それを明らかにすればどうなるのか、考えるのをやめているせい――。

「…………触れてもらえなくなるのは困る」

「……ああ、もう」

 今までそうしてきたようにトトは頭を抱える。

 シュクルはもう、お気に入りを見つけてしまった。

「やはりお心は変わりませんか?」

「いかにも」

「……そうだろうと、こちらから『金鷹(きんよう)の魔王』に連絡させていただきました」

「金鷹の?」

「そうです」

 す、とトトがシュクルに差し出したのは、端に行くにつれ金色を帯びた鷹の羽根だった。

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