元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「キッカ、少し黙っていなさい」

「俺、喋ってないと死ぬ」

「だったら死ねや、クソガキが」

 いまだ魔王たちにも本性を明かさない『黒の魔王』が舌打ちする。

 机の上に足をかけるという行儀の悪さに、マロウが眉を寄せた。

 しかし既に諦めたのか、止めずにシュクルの方へ目を向ける。

「キッカから少し聞いているけど、人間が勇者というものを送り込んできたそうだね」

「いかにも」

「舐められてんじゃねぇよ。きっちり引き裂いてやったんだろうな?」

「シュシュがそんなことするわけねぇだろ。こんなにいい子なんだぞ」

「ああ?」

「話が脱線する。黙っていなさい」

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