元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 再びギィとキッカが睨み合うのを見て、シュクルは困惑したように首を傾げた。

 ぱたり、とその尾が床を叩く。

「勇者と呼ばれていたようだが、勇者ではなかった。ティアリーゼは私への供物らしい」

「供物ぅ? なんじゃそりゃ、人間ってえぐいこと考えるなー」

「……それはつまり、君の食事として差し出されたのかな?」

 マロウがやや言葉を選びながら言う。

「恐らく」

「え、なに。人間食うの? マズそう」

「クゥクゥ、うるさい」

「うーい」

 一応返事はしても、キッカはまだ落ち着きがなかった。まだ話し足りないと思っているのは明確である。

 もう一度シュクルはぱたりと尾で床を叩いた。

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