元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 眩暈さえ感じて額に手を当てる。

 こんなところで自分の生まれを知ることになるとは思いもしていなかった。

「……だから、ですか。ひとりしかいない王女を送り出せたのは」

(せめて、政略結婚の道具にでもするのが普通というものでしょう。妾腹の王女にはその価値すらなかったと……)

「ティアリーゼ?」

「……大丈夫です、お兄様。続けてください」

「どこまで言ったか……。ああ、なぜ手の込んだ真似をしたか、だったな」

「はい」

「お前を使っての目的が、魔王を倒すことと魔王に媚びることの二点だったからだ」

「それは……矛盾していませんか?」

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