元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 わからない――というのが口癖だったシュクルのことを思い出していた。

 触れられただけで求婚してくるような、変わり者の魔王。尻尾を撫でられるのが好きで、隙あらば膝枕を狙ってくる。勝手に部屋へ入り込んではティアリーゼを観察し、ときどき喉を鳴らして構ってもらいたがる。

 雛だから会話が不自由だと言っていたシュクルとですら、少し時間を共にしただけでわかり合えるようになった。

 ならば、普通に言葉を交わせる者同士でそれができないのは怠慢だろう。

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