元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「いくら供物と言えど、お前は幼い頃から重要な役目を与えられてきた。秘密を明かさないよう、あの瞬間まで必要とされ続けたお前が、本当に憎かったよ。だから俺は兄らしいことなどなにひとつしてやりたくなかった。剣の訓練でも勝てたためしがないしな」

「……それは私に与えられた役目のせいです。お兄様は剣を持たずとも民を守る未来がありました。でも、私は……魔王を殺すために育てられてきたから、負けるわけにはいかなかった」

「そういう真面目なところも本当に嫌いだ。勉強はできないくせに」

「な……! レレンは褒めてくれましたよ!」

「馬鹿だな。あいつも適当にお前と接していただけだ」

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