元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「っ……。……じゃあ」

 ティアリーゼは兄の目をまっすぐに見据える。

 そんなふうに見つめ合ったのは、もしかしたら生まれて初めてのことかもしれなかった。

「お兄様だけが、偽ることなく本心から私と接してくれていたのですね」

「…………前向きだなぁ、お前は」

 エドワードが笑う。どこか寂しい、らしくない笑みだった。

「……嫌われていても、憎まれていても構いません。私はお兄様を尊敬しています」

「はっ、よく言う」

「いつかお兄様が治めるタルツのために、私も尽くしたい。もう王女でも妹でも勇者でもないかもしれないけれど、そのときは……どうか協力させてください」

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