元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 目を逸らしたのはエドワードの方が早かった。

 溜息がひとつ。諦めたように再びティアリーゼへと視線を戻し、その頭をそっと撫でる。

「っ、お兄様?」

「わかった。そのときは甘えさせてもらおう」

(お兄様……)

 ずっと距離のある兄妹だった。ティアリーゼの生まれや育ちの秘密がその距離を作ってきたからこそ、真実が明らかになった今、やっと理解し合えるようになった。

 それをティアリーゼは素直に嬉しいと感じる。

 覚悟していたとはいえ、信じたくない真実ばかり。自分の母だと思っていた人は本当の母ではなかったとまで言われてしまった。

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