元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「ん?」

「クゥクゥは、うるさい」

「……そうなんだ?」

 どんな人なのかと想像をふくらませながら、シュクルに連れられて外へ出る。

 向かったのは城から少し離れた先にある街だった。

 そこで待ち合わせているらしく、シュクルは街の門の前に着くときょろきょろし始める。

(仮にも魔王がふらふら出歩いていいのかしら……)

 そう思わないでもなかったが、すぐに考え直す。

 ほとんど外に出てこなかったシュクルは、恐らく亜人たちに顔を知られていない。ならば騒ぎになることもないのだろう。

 そうしてしばらく待っていると、不意に頭上で羽音が聞こえた。

「シュシュ! わり、時間忘れてた!」

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