元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 降り立ったその男は顔にくちばしの付いた仮面をつけていた。当然どんな顔なのかはわからない。

 以前、カラスの亜人は飛ぶときに姿を変えていた。大きなカラスの姿はまだ記憶に新しいが、シュクルの友人らしきこの人物は違うらしく、腕だけを翼に変えている。それも、地に足を付けた瞬間、人間と同じ腕に変わった。

 器用な真似をする、とぼんやり思う。

 そんなティアリーゼの横でシュクルが顔をしかめていた。

「いつも忘れる」

「そりゃあ俺、鳥だしな」

 シュクルより少し背の低いその人をまじまじと見てしまう。

 その視線に気付いたのか、男はティアリーゼの方を向いた。

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