元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 よく喋るキッカとの時間は楽しいものだった。会話を楽しみながら三人で街を回る。

 初めて見る街には亜人しかおらず、人間はティアリーゼぐらいしか見当たらなかった。

 タルツの城下町とは違い、あちこちに出店が出ている。

 知った匂いもあれば、知らない匂いも漂っていた。おいしそうだと思うもの、なんだこれはと顔をしかめそうになるもの、ティアリーゼにはわからないことが多すぎておもしろく感じる。

 売られているものも本当に様々だった。恐らく亜人の種類が多いからなのだろう。

「あそこに売っているものはなに?」

「木の実をハチミツに漬けたもの。小さい仲間が好む」

「小さい仲間?」

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