元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 不意にキッカの身体が――溶ける。

 陽炎(かげろう)のように揺らめいたその身体が不自然に歪み、文字通り溶けるように地面へと消えた――かと思った。

 次の瞬間、そこにティアリーゼよりも大きい鷹の姿が現れる。

 黄金色をした尾羽と翼の切っ先が陽光にきらめいた。

(金の……鷹……)

「邪魔になる」

 絶句するティアリーゼの手を引き、シュクルはその場を離れようとする。

「ねえ、本当にいいの? 私たちも手伝いを……」

「巻き込まれかねない」

「え……」

「クゥクゥはとても怒っている」

 端的な言葉が聞こえたかと思うと、キッカは空高く舞い上がった。

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