元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「なぜ、震えている?」

 ティアリーゼ自身、言われるまで自分が震えていることに気付かなかった。

 シュクルがその肩を抱き寄せ、バルコニーに連れて行く。

 外へ出ると、出掛けたときと変わらない晴天が迎えてくれた。

 しかし、気分が晴れるはずがない。

「キッカさんは大丈夫なの? 本当にひとりにしてしまってよかったの? 私だって戦えるのに……」

「いない方がよかった。これが正しい」

「でもあんなに人がいたのよ。もしなにかあったら……」

「人間を引き裂くのは難しくない。私たちにとっては」

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