元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 荒れ狂うティアリーゼの感情を受けても、シュクルはいつも通り淡々としていた。友人を敵の中にひとり置いてきたとは思えない。

「ああいうことはよくある。クゥクゥを怒らせなければ、もう少し穏便に解決した」

「……怒った原因は、あの人たちが鳥の女性を連れて行こうとしていたから?」

「いかにも。クゥクゥは翼を持つ者の味方だ」

「だからって、たったひとりでなんて」

「すぐ帰ってくる。トトも向かった」

 そう言ったシュクルが空を見上げる。

 ――蒼穹に金の鷹が舞っていた。

「あ……!」

「早い」

 呟いたシュクルの声が少し嬉しそうだったことにほっとする。

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