元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 それでもまだ心配は拭えず、ティアリーゼはその手を軽く握った。

 そこに鷹が下りてくる。

 翼をはためかせると、立っていられなくなるほどの風圧がティアリーゼを襲った。

 そっと、シュクルがその風から守ってくれる。

「っ……」

 ティアリーゼは思わず手で顔を覆った。

 やがて風が止んだ頃に恐る恐る顔を上げると、そこには見慣れた人影があった。

「よう、ただいま」

「おかえり」

 キッカに向かってシュクルが真面目に言う。

「人間は?」

「蹴散らしてきた」

「キッカさん!」

 駆け寄ったティアリーゼを見て、キッカは驚いたようだった。

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