元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 からかうように言うと、キッカは声を上げて笑った。

 シュクルの肩に手を乗せてから、思い切りその髪を撫で回す。

「西の魔王を見くびってもらっちゃ困るぜ」

「もし、なにかあったら私は人間を滅ぼしていたかもしれない」

「おいおい」

(全然そんな素振りを見せなかったのに)

 ティアリーゼ自身、突然心中を明かし始めたシュクルに戸惑う。

「クゥクゥのことは好きだ。だから、傷付くところは見たくない」

「はいはい。ありがとな」

「ティアリーゼのときもそうだった」

「……私?」

 いきなり名を出され、やはりティアリーゼは戸惑った。

「人間に傷付けられたとき。滅ぼしてもいいと思った」

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