元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
(あ……)

 シュクルが言っているのは、本当に出会いたての頃のこと。

 ティアリーゼは勇者だと言われていたが、実際は魔王への供物だった。それを知ったとき、シュクルはこう言ったのだ。

 裏切った人間を殺してもいい。国を滅ぼす方がいいのならそれでも、と。

「シュシュは大げさなんだよなぁ」

「悲しくなるから」

「もう大丈夫だって。な?」

 シュクルなりになんらかの感情を抱き、キッカを心配していたのは明白だった。

 キッカはそんなシュクルをよしよしとなだめる。

 ティアリーゼもそんなふたりを見て心を落ち着かせたが、不意にとある考えがよぎった。

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