元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 ティアリーゼが妙な声を上げたのも無理はない。

 シュクルらしからぬ強引さで抱き寄せられ、そのままぎゅっと腕に包み込まれてしまったのだから。

「ティアリーゼは私のものだ」

「はいはい、嫁さんのことは大事にしろよ」

「……もう一度したら、とても怒ると思う」

「もう怒ってるだろうが」

 楽しげに言うと、キッカはティアリーゼの方を向く。

「あんた、愛されてるなぁ」

「ち、違うんです、これは……」

「なにが違うんだっつの。ちゃんと愛されてるって理解してやれよ。じゃねぇとシュシュがかわいそうだ」

「私はかわいそうではない」

「うるせ。くちばし突っ込んでくんな」

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