元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「気持ちが高ぶったとき。どのようにそれを伝えようとするのか聞いている。今、お前が言ったのとは別の方法があるだろう。唯一の存在に向けての、特別なものが」

 逸らされない視線にどぎまぎする。

 いつもはぽつぽつ話すシュクルが、ここまで饒舌に語るのは異常事態だった。よほどキッカの行為に思うところがあったのだろう。

 下手にごまかすのは危険だと感じ、ティアリーゼは真面目に答える。

「……キス、とか……すればいいのかしら……」

「そうするべきものならなんでもいい」

(……これって、する流れよね)

 相変わらずシュクルはティアリーゼをじっと見つめている。

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