元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 言いかけて、またレレンは口をつぐむ。

 なにか言う代わりになんとも言えない表情で微笑した。

「昔から真面目で責任感があると思っておりました。大きくなってからもお変わりない」

「どうしたの、急に?」

「これが、供物としての別の生き方ではないことを祈ります」

 そう言うと、レレンはティアリーゼの前に膝をついた。

「私はこの国を出ようと思っています。ティアリーゼ様にお会いできてなによりでした」

「そんな、いつから……」

「……きっかけは、あなたを見送ったあの日からでしたよ」

 ふ、と笑われた意味をティアリーゼは理解できなかった。

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