元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 どうしてレレンがそんなふうに寂しく笑うのか――。ティアリーゼの知っている姿からは想像もできない。

「私の中では、あなたこそ真の勇者でした」

 それだけ言い残し、レレンはその場を立ち去る。

(いったい、どういうこと……?)

 皮肉を言っては厳しく指導し、かと思えば頬を緩めて話し相手になってくれたレレン。急にいなくなると思わず、追いかけるべきか悩む。

 しかし、ティアリーゼにいはレレンがそれ以上の話を望んでいないように見えた。

 話すことがあるのなら、今もここで会話を続けているだろう。

(……寂しいわ)

 思いがけない別れに胸を痛めつつ、気持ちを新たに再度前を見据える。

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