元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
(あなたが教えてくれたこと。全部大切にしていくから)

 そう心に誓い、父王の控える居室の扉を叩いた。

 ティアリーゼを招き入れた王は、ずいぶんと疲れた様子だった。

 自分のことを話すよりまず、そちらを心配する。

「お父様、どうかなさったのですか?」

「なに、最近することが多くてな」

 タルツ王は懐かしげに目を細め、ティアリーゼを見つめる。

「また、お前に会うことが叶うとは……」

「お父様も知っていらっしゃったのですよね。私の本当の役目を」

「それを決めたのはこの私だからな」

 もう、ティアリーゼは傷付かなかった。必要な話なら既に兄に聞いている。

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