元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「私はティアリーゼを失うのか」

「いつかはそうなっちまうよ。だってあいつ、俺たちと違うもん」

 またシュクルが机に突っ伏す。見ようによっては泣いているようにも見えた。

 キッカはそっと側まで近寄ると、落ち込んでいるシュクルの頭を撫でてやる。

「お前はさ、もう充分傷付いてきただろ。だからまた傷付くところは見たくねぇよ。あの人間のこと、もっと割り切っちまえ」

「……私の名前を呼んでほしい」

「んあ?」

 キッカの手の下でシュクルが首を振る。

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