元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 額にある紫の石らしき装飾は気になるが、それ以上に目を引くのは亜人だと判断する最たる理由――背を覆うマントから覗く、爬虫類の尾だ。

 つるりと白く、ときおり鱗が光にきらめく。その尾の存在が、なぜ彼を『白蜥』――白い蜥蜴(トカゲ)と呼ぶのか理解する。

「あなた、トカゲの亜人なの?」

「違う」

 即答され、もう一度視線を尾に向ける。

「でも、尻尾が」

「なぜ、そんな場所を見ている」

 ぱた、と白い尾が動いた。意外にもかわいらしい動きだ。先ほどとは違う意味で目を引かれてしまう。

 しかし、ティアリーゼはすぐに気持ちを切り替えた。

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