元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「シュシュが成長したのも、あの人間のおかげなんだよな」

「いかにも」

じゃあ俺は、捨てちまえって言うより、限られた時間を幸せに生きろよって言ってやる方がいいんだろうな」

「わからない。クゥクゥの言いたいように言えばいい。私を強制できるとは思わないでもらいたいが」

「頑固だもんな、お前」

「わからない」

「まぁ、友人として幸せは願っといてやるよ」

「……ありがとう」

 そう言ったシュクルは微笑していた。ゆらりと尾を揺らしながら、今こそが幸せであると伝えるように。

 だからキッカも微笑を返した。苦笑に近いかもしれない。

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