元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 決まっていないことも多いのに、父である国王は忙しく、兄は国外での公務で連絡が取れない。誰に聞いてもこれといった回答が得られないため、タルツで過ごす日々が長くなるほど不安が大きくなった。

 それをマリッジブルーと言うのだ、とメイドのひとりは言っていた。

 結婚を前にした女性が不安を覚える現象とのことだったが、果たしてこの不安がそうなのか、いまいち納得しづらい。

 そんなティアリーゼは今、城の庭に出ていた。

 ドレスは仮縫いが終わったと言う。結婚式が近付いているのだと思わせてくれるのは、本当にドレスの進捗だけだった。

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