元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 振り返ると、メイドが近付いてくる。

「エドワード様がお戻りになりました」

「まあ、お兄様が?」

 王子としての役目を果たすため、エドワードは遠方の国に出向いていると聞いていた。おかげでせっかく国に戻ってきても、今日まで会えていない。

 ようやく自分の口から結婚のことを伝えられると知り、ティアリーゼの表情が明るくなる。

「帰ってきてすぐ話に行くのはよくないかしら。お兄様もお疲れだとは思うけれど……」

「それでしたら問題ございません。今、エドワード様にティアリーゼ様をお連れするよう、申し付けられておりますので」

「お忙しいでしょうに……」

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