元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 そして再びシュクルのもとへ舞い戻った夜、大切な秘密を聞かされたのだ。

 生まれた瞬間から不完全で、家族にその存在を認めてもらえなかったこと。だから人間としか子供を作れないこと――。

「お前に言っただろう? 協力してもらう、と」

「なんてひどい……!」

「ようやく俺の役に立ったな、ティアリーゼ。ありがとう」

 笑う兄は別の生き物に見えた。

 言葉を失っていると、檻の扉を開けられる。

「魔王が来るならそろそろだ。ひとりで死ぬか、魔王と共に死ぬか。後者なら幸せだな?」

 荒っぽく引っ張り出され、痛みにうめき声を上げる。

(来ないで、シュクル)

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