元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 エドワードを見ているのか、ティアリーゼを見ているのか――それすらわからなかった。

「私は、私以外のものにティアリーゼを許したくない」

「はっ、結婚なんて馬鹿げたことを考えるだけあって、ずいぶんご執心だな」

「これ以上、傷付けないでくれ」

(シュクル……あなた……)

 シュクルとティアリーゼの間には距離があるが、彼の深い悲しみは伝わってくる。

「ティアリーゼ」

 シュクルはエドワードではなく、ティアリーゼに向かって呼びかける。

「お前は二度も裏切られた。今度こそ、滅ぼしても構わないか」

「それは――」

「できもしないことを言うな」

< 357 / 484 >

この作品をシェア

pagetop