元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 鼻で笑ったエドワードがティアリーゼの言葉を遮る。それをシュクルは不快に思ったらしく、眉間に皺が寄る。

「お前にそんな力はないんだろう? この女に付けた『虫』で聞かせてもらったぞ」

「……虫?」

「お兄様はあなたの話を盗聴していたの!」

「なるほど?」

 シュクルが考え込んだ素振りを見せる。

 ティアリーゼはシュクルから兄に視線を移した。

「力がないと蔑むなら、このまま放っておいて……!」

「どうして殺せるのにわざわざ逃がしてやらなきゃならない?」

 エドワードの言葉には楽しげな笑いが含まれていて、ティアリーゼをぞっとさせる。

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