元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「魔王を殺そうとしていたくせに。いつからそこまで、亜人の肩を持つようになったんだ?」

「決まっています。シュクルに出会ったそのときから、です」

 また殴られる恐れはあったが、ティアリーゼは兄をまっすぐ見つめ続けた。

 自分の気持ちが少しでも伝わればいいと願いながら。

「私はあの人が好き。だから敵対していると誤解され続けるのが嫌なの。誰にも触れてもらえなかったなんてもう言わせたくない。そんな世の中を変えたいから、人間と共存できるようにしたかったのよ……!」

 血を吐くような叫びはまぎれもなく本心からのもの。

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