元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 しかし、言葉以上にその顔が語っている。

 シュクルは、笑っていた。

「お前たちはティアリーゼを必要としていないのだろう。一度目は供物として、二度目は囮として扱ったのだから。ならば、私にくれないか。白蜥の魔王の名にかけて大切にする」

 ゆっくりとシュクルが頭を下げる。

 魔王たる存在が人間にそうした仕草を見せたことが、兵たちの動揺を生んだ。

 どれほどティアリーゼを大切に思っているか、シュクルのなにもかもが訴えてくる。

 やがて、エドワードが大きく息を吐いた。

 ざわつく兵たちを抑え、ティアリーゼに目を向ける。

「お前は愛されているんだな」

「……はい」

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