元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
「ここまでとは思わなかった」

 おい、とエドワードは兵のひとりに声をかけた。

「解放してやれ」

「お兄様……!」

 すぐにティアリーゼの鎖が解かれる。

 手も足も自由になった妹に向かって、エドワードは顎をしゃくった。

「魔王がお前を待っている」

「……っ、ありがとうございます」

 ここまで助けに来てくれたシュクルのもとへ、一目散に駆け寄る。

 恋人への想いを行動と言葉で示したシュクルは、軽く手を広げてまた微笑した。

 その腕の中に飛び込もうとした瞬間――。

「っ、あ」

 ティアリーゼの背中が、急に熱くなる。

「ティアリーゼ!」

 シュクルが初めて声を荒げた。

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